5月31日に開催されたONE Friday Fights65に日本からKNOCKOUTで活躍中の新田宗一朗(あらた そういちろう/クロスポイント吉祥寺)選手が参戦しました。

©️ONE LUMPINEE

新田選手は、イノベーション・キックボクシング連盟のスーパーフェザー級チャンピオン。今年4月25日にはカンボジア・プノンペンで開催されたクンクメールのビッグマッチで、数万人の大観衆を前に1ラウンドKO勝ちを収め、その勢いのままONEに参戦を決めました。

ルムピニースタジアムで毎週金曜日に開催されているONE Friday Fightsには、毎回、日本人選手が総合格闘技(MMA)やグラップリングも含めて4選手ほど出場しています。日本でU-NEXTにて生中継されるためなのか、日本人選手の需要が高いです。毎週4名の日本人出場選手を確保しなければならないので、ほぼ無名に近い日本人選手でも出場しているケースもあるのが現状です。

しかし名前がなくても知名度を得るチャンスがないだけで強い選手もいますので、ONEという舞台で一気に飛躍する可能性もあり、そういった選手の出現を期待しています。

日本ではムエタイ、キックボクシングの興行も多く開催されており、毎週土日はほぼ何かしらの興行が行われています。日本人選手がスケジュール的に空いていない状況もあってONEに出場する日本人選手の調整も難しいですが、やはり魅力ある大舞台のONEですので、日本の王者クラスがスケジュールの合間を縫って参戦してくれています。

新田選手の対戦相手は中国のジャン・ジンフー。ONEには3度参戦して1勝2敗ですが、対戦相手は全てタイ人選手と、なかなかの修羅場をくぐってきた選手です。ONE初参戦、オープンフィンガーグローブ着用での試合も初の新田選手。

©️ONE LUMPINEE

開始早々、左フックで先制のダウンを奪った新田選手。しかし、バランスを崩したスリップ気味のをダウンとカウントされてしまいイーブンに…

2R、互いの肘の差し合いがカウンターとなりダウンしてしまった新田選手は、相手のボディ攻めにヒジなどを合わせようとしますが、距離、タイミングが合わず不発。相手のペースのままラウンドは進み、判定負けとなってしまいました。

ONE Friday Fights65
31 MAY 2024 @ルムピニースタジアム
⚫︎新田宗一朗(クロスポイント吉祥寺)
vs 判定0-3
○ジャン・ジンフー(中国)

⇧試合動画

⇧興行フライヤーなど。タイのトップ選手らと肩を並べて掲載されるのはモチベーションに繋がります。

相手のジャン・ジンフーはONE参戦が今回で4戦目ですので、ONEのルールに沿った戦い方をしていた印象でした。一方、初参戦の新田選手はダウンを奪った後に力が入ってしまい、本来の自分の距離で戦えていなかった感じを受けました。

ONEの舞台が必要以上に選手を力ませてしまう感じがあるのかもしれません。ONEはONEで通常のムエタイではないので、ONE用の戦略、戦い方が必要となってはきますが、無理やり合わせるのではなく、自分が得意な攻撃をさらに活かす戦い方が必要かと思います。

タイの選手でもONE向きとそうでない選手とでわかれてきて、完全にONE用にシフトチェンジしている選手もいれば、5R制ムエタイに戻っていく選手もみられるようになりました。

ムエタイトップ選手でさえ、ONEに参戦してきても最初はルールや試合ペースの違いからか、苦戦している場面も度々みられます。

日本人選手が多く参戦するようになったONE Friday Fights。本戦と言われるシリーズには世界中からトップクラスの選手が参戦し、最高峰の舞台となっています。Friday Fghtsを勝ち抜いていけば本戦契約=契約金約1,500万円とプロスポーツ選手として恥ずかしくない額の獲得が可能となります。

今まで日本からタイでの試合に来るには、渡航費などの経費が選手や所属ジムの自腹となり、赤字でやってきていた時代から考えると、各経費が支給されてファイトマネーも良い額をもらえるとは、良い時代となりました…

身体を酷使するコンバットスポーツの選手寿命は長くはありませんので、日本人選手の需要が高い今が非常にチャンスです。ファイターであればチャレンジすべきと思うのですが…ONEという舞台に挑んでみては…⁉︎

日本のトップ選手が世界進出への第一歩となったり、実力がありながらも日本で燻って⁉︎いる選手の飛躍の場となってくれればと思います。

Text by Hideki Suzuki

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