卒業生インタビュー③

VOL.3 馬場 宥樹 (ばんば ひろき/26歳)

文武両道プログラム参加期間

2011年 7月~2012年 12月
ムエタイ戦績:8戦5勝(2KO)3敗

文武両道プログラム卒業後

2014年4月 関西学院大学 法学部入学

2014年10月 2学部卒業制度 利用開始

2018年4月 関西学院大学 法学部卒業

関西学院大学 国際学部入学

2019年4月 関西学院大学 国際学部 卒業

2学部卒業制度 満了

2019年4月 某大手スチール会社 入社

早速ですが、 プログラム参加時の正直な感想は?

早朝のランニング後に学校、帰ってきたらジムワークに宿題。これが毎日続くのか、というのが正直な思いでした。プログラム参加を決心した時、「強くなりたい」という想い一心で決断しましたが、日々に慣れる事で精一杯だったのを覚えています。

一方で私の場合、プログラム参加により、毎日練習が出来る事の嬉しさも感じていました。プログラム参加前は通学時間に1時間以上要し、週末しか練習出来なかったのが、参加により毎日練習する事が出来るようになったからです。

それでは、参加時に一番辛かったことは?

一番辛かったのは、どれだけ練習しても自分の成長が見えなかった事です。試合に負け、自分に足りない技術・技のキレを向上させるべく、毎日真剣に練習に取り組んでいました。しかし、自分の理想には一向に近づけず、本当に成長できているのだろうか?と悩んだ日々が続いたのが辛かったです。

しかし、支えてくれる会長・同僚・トレーナーの皆が居た事で辛い日々でも過ごせたのだと思っています。

それでは、一番嬉しかったことは?
試合に負けた時、励ましてくれる仲間がいた事です。私は、性格上緊張しやすく、試合になると練習では出来た事が出来ず、負けてしまう事が多々ありました。そんな時、「大丈夫!技術はあるから、緊張に勝つだけだ」と励ましてくれる仲間が側にいてくれたのは、一人で戦っているのではないと思えた瞬間でもあり、思い出深く残っています。
一番印象に残った試合は?
ポー.プラムックジムの選手との試合です。その頃付いた新しいトレーナー―の練習は、今までとは一変していました。6ラウンド以上のミッド打・スパーリング、200回以上の蹴り・膝打ち、30分以上の首相撲、と怒涛の練習メニューが毎日続いたのです。疲労困憊の日々の末迎えた試合、有名ジム所属選手から勝ち取った勝利は、一番の思い出となりました。
タイでの生活で不便だったことは何かありましたか?

そうですね…学校では英語、ジムではタイ語を駆使しコミュニケ―ションしなければならない事が不便でした。学校に行けば、先生や友人とコミュニケーションを取る事が難しく、なかなか発言する事が出来ない…ジムに帰れば、トレーナーが教えてくれる事を理解するのに一苦労していました。

一方で、文武両道プログラムにより2つの言語を習得する事が出来たのは大きなメリットでもありました。

タイでの生活で楽しかったことは?

異文化に触れる事が出来た事です。タイ人と日本人では、約束・時間・友人等、物事に対する認識が一つ一つ異なっています。異文化に触れながら、毎日新たな発見を繰り返す日々は、何よりも楽しかったです。日本での生活では知る事の出来なかった世界を知り、自己の視野を広げる事が出来る機会を持てたタイ生活は、非常に有意義でした。

ムエタイに対しての思いを聞かせてください。

更に多くの人々にムエタイの素晴らしさを知って欲しいです。ムエタイは、世界最強の立ち技格闘技として知られていますが、それだけではありません。ムエタイでは試合開始前、”ワイクルー”と呼ばれる舞を踊ります。これは、試合という場を設けて下さった人々への感謝の舞と私は認識しています。強いだけではなく、礼儀作法も兼ね備えた格闘技であるムエタイを更に多くの人々に触れて欲しいです。

タイ国、タイ人に対しての思いを…

穏やかで、優しさに溢れた人々から成るタイ王国には感謝しかありません。マイペンライ(大丈夫)と、新たな環境に身を置く自分を何の偏見もなく受け入れてくれたタイの人々には感謝しています。そして、私に新たな世界を見させてくれ、新たな知見を与えてくれたタイ王国にも感謝しています。タイでの生活が有ったが故に、今の自分がいると帰国して7年、感じています。

学校生活での思い出は?

プロム(卒業パーティ)が一番の思い出です。インターナショナルスクールでは、卒業後、プロムが開催され卒業生皆で卒業を祝います。その日、同期の松浦啓太と共にパーティ会場へ向かい、「今までお疲れ」と二人で話した事を覚えています。英語を通じて、多くの友人に囲まれた最高の日でした。

では、イングラムジムでの思い出は?

ジム飯が思い出に残っています。朝は会長手作りのサンドイッチ、夜はトレーナーが作るタイ料理を食べていました。プログラム参加当初は、食事が口に合うかの心配もしていましたが、非常に美味しく、練習後に食べるタイ料理は格別でした。今でもたまに、ジム飯が食べたいと思い程、ジム飯は思い出深く残っています。

卒業してから、今になって感じる文武両道プログラムの良さは何かありますか

忍耐力を養い、心身ともに強くなれた事だと思います。ムエタイを通し、「強くなりたい」という当初抱いた夢に近づく事が出来、学業とムエタイの両立により、耐え忍ぶ力を身に着ける事が出来ました。忍耐力を養えたからこそ、入学後に2学部を卒業するに至り、就職活動を完遂できたのだと感じています。

これから参加を希望する人へのメッセージをお願いします。

参加を希望する人にはそれぞれの思いがあると思います。私みたいに「強くなりたい」という想いを抱く人や「本場のムエタイ技術を学びたい」という想いを抱く人など様々だと思います。私は、この想いさえあれば参加に際して心配する事はないと言いたいです。確かに、文武両道を始めると辛く厳しい日々が続きます。しかし、ジムには、寄り添い支えてくれる仲間・トレーナーが居る。学校には自分を認めてくれる友人が居る。周りに支えられながら自分の想いへ一歩ずつ近づくことが出来るこの場へ、一歩足を踏み出してみて欲しいです。

参加を希望する人へのアドバイスをお願いします。

文武両道プログラムで得られるものは、ムエタイを通した強みだけではなありません。異文化を学び、自己の視野・知見を広げる事が出来る事もまた、文武両道プログラムの強みだと思います。日本では得られない経験を積んだ事は、その後の大学生活・就職活動に大きな影響をもたらします。ですので、決断する際はムエタイの一面に加え、ムエタイ以外で得られるものへも目を向けてみて欲しいです。

ありがとうございました。