ルムピニースタジアムで開催されているONE チャンピオンシップ(以下 “ONE”)のONE Lumpineeシリーズ(Friday Fights, Fight Night)、ラジャダムヌンスタジアムで開催されているRWS (ラジャダムヌン ワールド シリーズ 以下”RWS” )が、今現在タイのムエタイ界でライバルとして鎬を削っている印象です。
ONEはムエタイだけでなく、キックボクシングルールや総合格闘技MMAの試合も同シリーズ内にて開催しています。RWSは独自のルールで3ラウンド制ムエタイ として開催しています。(厳密にはどちらもムエタイ競技として公式ムエタイルールでは実施していない。※改正の可能性あり)
互いに二大殿堂スタジアムにて開催しているビッグマッチとなりますが、どちらのシリーズにも選手を出場させて実際の現場をみた感想ですが、主催者側の経費負担、ファイトマネー、メディカルケアの部分や、客観的に見て人気、知名度的にもONEがリードしている感は拭えないのが正直な印象です。
どちらもブランディングに力を入れて知名度アップに注力しています。RWSはバンコクの街中で大きな広告を目にすることが頻繁にあります。広告宣伝費に多大な費用をかけていることが伺えますが、RWSの運営会社であるGSVの親会社がタイ大手の広告代理店であるPlaneB社であることから、一気に広告媒体へ露出が可能となっている部分が大きいかと思います。
☝︎ラジャダムヌンスタジアムでのRWS
ONEの方は、毎週金曜日のゴールデンタイムに主要チャンネルである7chにてライブ生中継でタイ全土で観戦することが可能となっており、一般タイ人への知名度アップに繋がっています。今までのタイでは、平日の主要チャンネルのゴールデンタイムは人気ドラマの放映が常であり、ムエタイなどバトルスポーツが中継されることはありませんでした。その常識を打ち破り、平日のゴールデンタイムにぶつけたことで人気コンテンツとなり、そこに出場している選手=スターアスリート。というイメージを定着させてきたのは大きな功績かと思います。
☝︎3月22日にはストラッグルジムの老沼隆斗選手がONE Friday Fightsに出場。
☝︎強豪相手に健闘しましたが、惜しくもKO負け。相手はONE参戦から2戦2勝(2KO)でスペシャルボーナスを獲得。
☝︎ONEでは毎週日本人選手数名が出場して熱戦を繰り広げています。
スター選手=多額の報酬、契約金の獲得と、カラダ一つで成り上がるサクセスストーリー、リアリティショーを視聴者に見せることで人気コンテンツに創り上げた印象です。実際に視聴率でも常にトップを維持しています。(バトルスポーツでトップ)
RWSも1番歴史のあるラジャダムヌンスタジアムで開催している誇りもあり、先日のメインイベントのタイトルマッチでは勝者に50万バーツ(≒200万円)、KO勝ちの場合には100万バーツ(≒400万円)の特別賞金を贈呈というプロモーションで話題を呼びました。また日本でもRWSを開催するなど世界にネットワークを広げてブランド力をアップさせています。
☝︎4月27日のRWSにて開催される注目のスーパーファイト。(ラジャダムヌンスタジアム・フェザー級タイトルマッチ)
私個人としては、どちらも純粋なムエタイルールで実施していない部分で複雑な思いはあります…が、多様性に富んだやり方が今の時代の流れなのかと理解するようにしています。
ムエタイを広く普及させる為に引き続き互いに鎬を削っていき、ムエタイ普及、振興に貢献してもらえればと思います。
Text by Hideki Suzuki
INGRAM MUAY THAI GYM
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