日本が誇るボクシング世界王者、井上尚弥選手の4団体王座統一戦が12月13日に開催されます。(VSポール・バトラー戦)勝利すれば、日本人初の世界4団体統一チャンピオンとなります。
歴代の日本人世界チャンピオンをみても、井上尚弥選手の突出した実績はトップですね。まさに日本が生んだボクシング界のザ・モンスター。
本物の実力でここまで上り詰めたということに異論のある人は皆無でしょう。
正直、過去に”この選手が世界チャンピオン⁉︎”という印象を受けた王者がいたことも確かで、日本王者⇨東洋王者⇨世界ランカー⇨世界チャンピオン!というプロセスを踏まずに王者になる手法が蔓延し始めた頃から、ちょっと微妙なチャンピオンが増えてきたことでボクシングへの興味が失せたこともありました。
色々と物議を醸した親子もいましたし、エンタメ色が強くなっていく傾向に眉を顰めるコアなボクシングファンもいました。
そこまでの実力が無くても、周りのバックやサポートで人気、知名度が上がり、実力以上の冠が付いてしまうケースが多いと、ボクシング本来の”実力主義”の世界が崩れてしまいますね。
とは言っても興行の世界であれば観る人がいないと成り立たない世界なので、煽りやパフォーマンスはある程度必要とは思いますが、井上尚弥選手をみれば一目瞭然で、”強ければ余計なパフォーマンスは一切不要”になるのですが…
パフォーマンス=実力不足を補う。なんでしょうか…⁉︎
最近よく現役や元ボクシングの世界チャンピオンがキックボクシングや総合格闘技など、他格闘技の人気選手たちとYouTubeなどの企画で交流しているのを見かけます。
知名度アップ、人気を得ていくためのセルフプロデュースが必要なのでしょうが、現役選手なのであれば、その時間を練習、実力アップの為に使った方がいいのでは⁉︎と感じてしまうのですが…
ボクシングと他格闘技の選手が交流することが増えたことに時代の流れを感じますが、私が現役時代には完全に双方の間には壁があって、ボクシング界からは一緒にしてくれるな的な空気がありました。
そうなるのも当然で、キック界は当時から今に至るまで団体分裂、新団体発足を繰り返しており、ボクシングのJBCのような統一機構、コミッションが存在していない世界です。
一時期、沖ボクシングジムにお世話になったことがありましたが、ちょうど竹原慎二さんが世界タイトルを奪取する前で、その世界を相手にしているジム全体の空気感が物凄く、やはり”世界”なんだ…キック界とは規模が違うな…とは感じていました。
ただ現在ではJBCが承認する世界王座認定組織が増え、世界チャンピオンになれるチャンスも多くなったので、同時にその希少価値も低くなってきている印象です。そうなると1つの世界王座だけではなく、同時に何団体かの世界チャンピオンになることで価値を上げていくのが真の世界チャンピオンとなるのでしょう。まさに井上選手が実践している偉業がそれです。
現在のようなボクシング界と他格闘技間の壁もだいぶ低くなって交流が盛んになってきたのは、大変喜ばしい傾向だと思いつつも、
「プロボクシング世界王者」は常に崇高な存在であってほしいという部分も大きいですね。
因みにタイでのボクシング界とムエタイ界には大きな壁はなく、昔から両競技を兼任したり、転向したりが普通のこととして成り立ってきています。
サーマート・パヤックアルン、ウィラポンのような両方で素晴らしい実績を残している選手もいます。
ムエタイ出身、経験者ではないボクシング世界王者は、私の知る限りでは、サマン・ソー.チャトロン、イーグル京和、最近ではシーサケットでしょうか…
いずれにしても、ボクシング界、キックボクシング・ムエタイ界、ほか格闘技界にはどんどん盛り上がっていってもらいたいです。
Text by Hideki Suzuki
INGRAMMUAYTHAIGYM
Add Comment