7月3日(土)にルムピニースタジアムで開催される興行にて、ルムピニースタジアム設立から65年の歴史上、初めて女子選手が正式にリングに上がることとなります。
日本の大相撲同様、ムエタイもその長い歴史の中で女子がリングに上がることはご法度でした。
(※一部のスタジアムや興行、草ムエタイなどを除く)
特に二大殿堂スタジアムといわれ、その二大スタジアムのチャンピオンがムエタイ王者の頂点、最高峰と称されてきたルムピニースタジアム、ラジャダムヌンスタジアムが、その権威を保持すると同時に女子選手や女性がリングに上がることを頑なに拒否してきました。
(ラジャダムヌンスタジアムは現在も女子はリングに上がれません。他にオムノーイスタジアムも同様。)
Photo by Hiroshi Soda
ムエタイは言わずもがなタイ王国の国技でありタイの伝統文化です。
数百年前から隣国との戦争では、白兵戦での戦術として全身を武器とした闘いで国を守ってきた歴史もあり、戦場となる場(リング)に女子を近寄らせないという慣習が、いまだに根強く残っている部分が大きくなっています。
慣習を遵守するムエタイ指導者たちは、練習をするジムにも女性が立ち入ることを禁じたり、練習道具に触れることさえも拒むケースが数年前までは普通にありました。
今では女性蔑視や男女差別と非難の対象となってしまいますが、誤解を恐れずに言うならば、女性は闘いの場においては “縁起の悪いもの” であったのです…
女性には月経があり、古くは衛生ナプキンなども無かった時代には、地面にその血が落ちることもあり、命をかける闘いの場、戦場=聖域に血が落ちるということは非常に縁起の悪いことだったのです。
身体から血を出す=死を意味する戦場では、女性を近づけてはならないという慣習が現代まで続いてきているのです。
現代社会では、そのような歴史的伝統、慣習などもナンセンスと批判されてしまいます。
特に昨今ではジェンダーレスが尊重される風潮になっていますので、こういった性別により活躍できる場が制限されるのは時代に逆らっているとは言えるでしょう。
(※女子選手の活躍の場がなかったわけではなく、
タイ国プロムエタイ協会は女子のタイトルもあり、積極的にタイトルマッチなどが開催されてきました。)
慣習・伝統を尊重するか、性別による差別のない業界を目指すのか難しい部分ではありますが、時代の流れにより一つの歴史が変化していく瞬間でもあります。
競技としてみれば、女子選手の活躍は競技の普及・振興に不可欠であるのは他競技をみても明らかです。
殿堂スタジアムも女子選手出場が解禁となり、これから先どのように変化していくのかを注視していきたいと思います。
Authored by HIDEKI SUZUKI
©️INGRAM MUAYTHAI GYM
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