恒例化してきたPCK連闘会(本部:宮城県名取市)のタイ遠征試合ですが、今回は女子選手2名がタイでの試合に挑みました。
なんと、田中”暴君”藍選手は日本人女子選手として初のムエタイ殿堂スタジアムであるラジャダムヌンスタジアムへの出場となりました。設立から78年のスタジアムの歴史で日本人女子選手としてはラジャダムナンスタジアムのリングに上がる第一号となります。(※女子選手の出場が解禁になったのは昨年からで、それまでは大相撲同様、女子選手の出場は許されていませんでした。)
しかも大舞台のRWS(ラジャダムヌン ワールド シリーズ)ビッグマッチへの出場です。
試合は常時果敢に攻めるも、対戦相手のサネーガーム(プロムエタイ協会二階級王者)のミドルキック、ヒザ蹴りの印象で前半ラウンドを奪われ、最終ラウンドに効かせるまで追い込むも判定負けとなりました。
RWSは各ラウンドごとに必ず優劣をつけるラウンドマストシステムになっており、3Rのみの戦いでは前半2Rを取られたらKOしなければ負けとなってしまうルールです。(ダウンを奪った場合でもドロー)パンチ主体のスタイルである田中”暴君”藍選手が勝つには、”倒せなければ負け”という中での戦いでした。
試合は負けとしても、最終ラウンドまでもサネーガームに付けていた*ジャッジ(27-30のフルマーク)がいたことは納得できない部分でした…RWSルールでありながらパンチのポイントはまったく無いというジャッジメントですね。
(※下記にアップしました試合動画のフルバージョンのコメント欄にはタイ語ですがジャッジメントに対する批判ばかりが投稿されています。)
いずれにせよ、また強烈なインパクトを与えられた試合でしたので、次の展開を期待したいところです。
☝︎前日計量の様子。両選手ともにアンダーで、通常体重でも契約体重以下なので食べてからの計量。
■2023年7月29日(土) 19:15 start
RWS (Rajadamnern World Series)
@ラジャダムヌンスタジアム
第8試合 (2分3ラウンド/100lbs契約)
⚫︎田中 “暴君” 藍 (PCK亘理/日本) 99.7lbs
VS 判定0-3 (28-29/28-29/27-30)
○サネーガーム・サックチャムニ(タイ) 99.7lbs
◆試合動画
◻︎ダイジェスト版
◻︎フルファイト版
☝︎ラジャダムヌンスタジアム内の様子。
続く7月30日(日)に出場したのは、日本女子ライトフライ級のトップランカーである佐藤”魔王”応紀。
前日の田中”暴君”藍選手の試合を観て、やはり”倒さなければ勝てない”と悟った佐藤”魔王”は、初回からパンチ主体のラッシュで果敢に攻めていきます。
相手のファークラームは得意の組んでからの膝蹴りに持ち込もうとし、パンチVSヒザの攻防になって試合は盛り上がりました。
中盤からはパンチで確実に削っていながらもファークラームも粘り強く膝蹴りや肘打ちを繰り出してきてベルト獲得への執念をみせます。後半になり膝に捕まるパターンで負けるケースもあるだけに、佐藤”魔王”は組まさずにパンチ主体で前に出続け、ついに最終5ラウンド目でパンチ連打⇨アッパーカットで完全KOで倒しました。
互いに攻め続け、タイトルマッチ、メインイベントに相応しい好試合となりました。
“ムエタイの帝王”と評された伝説のムエタイ戦士、アピデッ・シットヒラン氏の名が冠されたアピデッ・シットヒラン杯のライトフライ級王座を獲得した佐藤”魔王”応紀選手は勝ち名乗りを受け、感涙に咽せていました。
☝︎タイトル戦立会人のアピデッ氏の長女であるパカポーン・ソンマニー氏(左)
■2023年7月30日(日) 13:00 start
Manfah Boxing Promotions
@ミナヨティンスタジアム
アピデッ・シットヒラン杯L.フライ級王座決定戦(2m.×5R / 108lbs)
ミネルヴァ・ライトフライ級2位
◎佐藤 “魔王” 応紀(PCK連闘会/日本)
VS 5R TKO
ミナヨティンスタジアム50kg級チャンピオン
⚫︎ファークラーム・シットクルートゥン(タイ)
※パンチ連打⇨アッパーカット
◻︎試合動画(PCKチャンネル)
☝︎両選手を育て上げた鈴木芳喜PCK代表(右端)
日本人女子として初めて殿堂のラジャダムヌンスタジアムのリングに上がった田中”暴君”藍選手(右)
次に出場する大舞台はどこになるのでしょう⁉︎
Text by Hideki Suzuki
INGRAM MUAY THAI GYM
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