昨今、日本人に限らず様々な国籍の選手がタイに滞在してムエタイの練習に参加し、試合をこなしています。
すでに数十年も前からそのようなタイ修行をする外国人選手はいましたが、ここ数年、その形態も変化してきています。
ムエタイ修行、ムエタイ合宿といえば、ジムに併設する合宿所に寄宿し、朝夕の練習をタイ人選手らと一緒にこなしていくやり方がスタンダードでした。
短期、長期に限らず、ジムの合宿所で寝食を共にし、生活全てがムエタイ一色というのが通常のタイ修行でありましたが、すでに数年前からはジムの合宿所には泊まらず、ジム近くのホテルやホステル、長期の場合にはアパートやコンドミニアムを借りて、”通い”でジム練習に参加する選手が多くなりました。
ある老舗ジムでは、近くに安価なホテルが多いために外国人選手が合宿所を利用しなくなり、タイ人選手以外はジムに泊まっている選手がいない状態が数年前から続いています。
特に欧米人選手はタイ料理中心のジム飯よりも外食で自分達の口に合った西洋料理を食したい部分もあるのでしょうか…あるジムではタイ料理か西洋料理のどちらかを選べるようになっているジムもあります。
特に欧米人選手が多いプーケットのジムやバンコク都心のジムでは、ジムの合宿所に寄宿している選手は少ないでしょう。また逆に、最初からジムに合宿所を併設していないジムも増えました。
☝︎トレーナー陣もジム常駐、所属選手も合宿生もジム寄宿が基本でしたが…
合宿所は規則正しい生活を強いられるのが常であり、共同生活のため、門限や消灯時間が決められていることもあるでしょう。プライベートな時間を確保するのが難しくなったりもあるので、ジム外に生活の拠点を築いていく流れになって来ているのでしょう。
このような形態の変化は、良い面もあれば悪い面も当然出て来てしまいます。
ジムと違う場所に宿泊している為に、練習が自分ペースになってしまい、疲れやちょっとした理由で練習を休みがちになる”サボり癖”がつくケースがあります。気分次第だけで練習に参加していたのでは強くはなれません。また遊びを覚えてしまい、本来の目的を忘れたタイ滞在になってしまうことも…
「ムエタイ修行でタイに来ています!」というのは名ばかりで、ほとんど練習していないような自称ムエタイ選手が増えたのは、「タイ語の勉強で語学留学中です!」と言って全く学校に通っておらず、連日飲み歩いている自称留学生が多いのと同じ現象ですね…
語学学校は、学校自体がビザ発行のためだけに生徒を受け入れる学校も多いのですが…授業料さえ払えば学ぶも学ばないもビザ用の書類を発行してくれる学校が多いのが現実です。以前、ムエタイ修行と語学留学を兼ねた生徒を受け入れ、語学学校に連れて行ったら、学校側から『実際に授業を受けられます?それともビザ用の書類が必要なだけですか?』と初めから聞かれて困惑した経験が…
このように需要と供給が上手く?成り立ってしまってる状況ではなかなか改善されていかないでしょう…
未経験から連日ジムでの練習をこなし、タイでムエタイデビューする選手も多くなりました。アマチュアでの試合経験があっても、いきなり殿堂スタジアムで試合するパターンはあまりありませんでしたが、先日、数年前にアマチュアの試合経験10戦のみでラジャダムヌンスタジアムでプロデビュー戦を行った日本人選手がいました。
☝︎殿堂スタジアムのラジャダムヌンスタジアムでのデビューのチャンスも!
月・火・金曜日の興行、RAJADAMNERN KNOCK OUTはタイ人、外国人選手の新人戦のような形態。
☝︎ラジャダムヌンスタジアムでプロデビューとなった内田 嵐選手(ROCK ON GYM) 惜しくも敗れムエタイの厳しさを味わいましたが、貴重な経験に。
2024年12月現在、日本人はビザなしでも60日間タイに滞在できます。さらに延長手続きを行えば、90日間滞在可能になる為、長期のムエタイ修行をしやすくなりました。
練習を続けタイデビューを目指す選手にとって非常に滞在しやすくなりました。
☝︎アマチュア王者8冠王の姉帯心選手(CYCLONE GYM)が年末年始のタイ合宿と試合に挑むためにゲーオサムリットジムの合宿入り。左は元WPMF世界王者の宮元啓介会長。
やはりタイ、ムエタイに慣れるまでや、まだまだ新人の時代にはジム内の合宿所に寄宿してムエタイに没頭する環境がおススメです。
“ムエタイ修行”はジム合宿が基本です。最初からホテルから通う練習はタイ合宿とは言えないですが、色々な事情からどうしても合宿所での寄宿が無理なケースもありますので、その場合にはジムの選択や練習環境を考慮してアレンジする場合もあります。
女子選手や語学学校を並行して行う場合もありますので、各個人個人に合ったタイ修行、合宿を提案してコーディネートしていますので、タイでのムエタイ修行をお考えの選手、ジム関係者の方々は、お気軽にお問い合わせください。
✉️ ingramgym@gmail.com
鈴木宛
Text by HIDEKI SUZUKI
INGRAM MUAY THAI GYM
Add Comment