先日、大々的に報道されましたが、2023年5月にカンボジア・プノンペンで開催されるシーゲーム(SouthEast Asia Game/SEA GAME)にて、カンボジアは「ムエタイの起源はカンボジアであり、ムエタイの名称は使用せずにカンボジアの伝統格闘技である”クンクメール”の呼称、競技名で開催する。」と宣言… それを受けてタイでは、シーゲームのムエ競技へのタイ代表チームの不参加を表明するなど、両国間の関係が非常に芳しくない状態になってしまっています…
https://news.yahoo.co.jp/articles/0db563537e35b43db87d54aaf723e552ff99fbf7
カンボジア側の主張では、ムエタイ界のスーパースター、ブアカーオ・バンチャークもカンボジアの血を引くカンボジア人であるということです…
(ブアカーオはハッキリと自身はタイ国民であると表明)
☝︎クンクメールの演舞
つい先日の報道では、カンボジア人のSNSでムエタイの父であるナーイカノムトムはタイ人ではなく、カンボジア人である…という投稿があったとのこと…カンボジア側の主張がどんどんエキサイトしてきている印象です。
タイはムエタイ、カンボジアはクンクメール、ミャンマーはミャンマーラウェイ、ラオスはムエラオと各国それぞれに発展してきた伝統格闘術があります。より国際的に競技、伝統格闘術が広がるように各国が独自に努力・活動していけば良いのではないでしょうか…
☝︎今や世界中に広まったタイの国技ムエタイ。タイ国が長い歴史を持って発展させてきた事実は世界中が認めるところでしょう。
ムエタイ界は他にもザワザワというか、なにかと騒がしいニュースが度々ありますね…
ルムピニースタジアムで今年の1月20日からスタートした「ONE Lumpinee」も、ムエ法に沿っていない独自のルールを採用しながらムエタイと名乗って開催されているのは違法だと、タイ国プロムエタイ協会の理事からムエスポーツ委員会へ意見書が提出されたりしており、今後どのような対応をするのかが注目されます。
☝︎チャトリ・シットヨートンCEO
©️ONE Championship
ONE ChampionshipのチャトリーCEOは、激しい試合を展開した選手に対して5万ドル(約650万円)の特別ボーナスを出したり、タイ国内の小さなムエタイジムへの支援で1ジムにつき50万バーツ(約200万円)を40ジムに寄付するなどムエタイ界へお金が落ちる活動を活発化させています。お金を使うことで活性化させ、ギャンブルとムエタイを切り離してギャンブラーからのチップではなく、激しい良い試合をすれば主催者側から特別ボーナスが支給されるシステムは非常に良いことだと思います。
ただ、そのシステムは各選手がボーナス狙いの激しい試合をする為にあえてパンチで激しく打ち合う試合をする必要があり、ムエタイ本来の蹴りや膝などでの技の応酬が見られなくなる可能性が高まるリスクもあります。もっと極端にいえば、ボーナス狙いのダウンの奪い合いなど対戦相手と事前に打ち合わせた八百長試合が勃発する可能性も出てきてしまいます。
もしギャンブルがなくても主催者側(プロモーター)に忖度した判定結果が出るなど、ギャンブルを廃止すれば常に公平な判定結果が出るとは限りません。逆にギャンブルだからこそ厳格な公平さが求められていた部分もあるだけに難しい部分です。
これらのことから、ONEのやり方にも良い面も悪い面も両方あると感じています。
コロナ禍後から様々な面で変わってきたムエタイ界ですが、今後はどのような展開をみせてくれるのでしょうか…
Text by Hideki Suzuki
INGRAM MUAY THAI GYM
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